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大阪高等裁判所 平成9年(ネ)2105号 判決 1998年1月27日

東京都中央区<以下省略>

控訴人

野村證券株式会社

右代表者代表取締役

東京都大田区<以下省略>

控訴人

Y1

右控訴人ら訴訟代理人弁護士

澤辺朝雄

大阪府堺市<以下省略>

被控訴人

右訴訟代理人弁護士

成瀬寿一

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  控訴人らは被控訴人に対し、連帯して三五一万八二五七円とその内一五五万五五九七円に対する平成二年一二月一七日から、その内一六六万二六六〇円に対する平成五年三月一六日から各支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、一、二審を通じこれを一〇分し、その七を被控訴人の、その余を控訴人らの、各負担とする。

五  この判決の二項は仮に執行することができる。

事実及び理由

第一申立て

一  原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。

二  右取消部分にかかる被控訴人の請求を棄却する。

第二事案の概要

次のとおり付加訂正するほか、原判決の「事案の概要」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二四頁一〇行目の「電話し、」の次に「ワラントは予め定められた一定の期間内に、予め定められた価格で発行会社の株式を買い受けることのできる権利であり、ワラント価格は基本的に発行会社の株価に連動するが、株価の二倍ないし三倍の大きさで上下し、」を、同末行の「大きいこと」の次に「(ハイリスク・ハイリターン)、買受権を行使する期間を徒過するとワラントは無価値となること」を、それぞれ加える。

二  同三三頁九行目の「ものであり、」の次に「取引対象である有価証券の価格が何人も予測しえない相場の動きにより下落し、損失を惹起する危険性があるから、取引対象の選択を投資家にさせ、その損失はその選択に起因するものとして投資家に負担させるべきもので、」を加える。

三  同三七頁五行目の「の値段が」を「や三井物産ワラントの価格が株価の下落に見られない急激さで」に改める。

第三判断

次のとおり加除訂正するほか、原判決の三八頁一行目から八一頁一〇行目に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決四五頁八行目の「四六、」の次に「四八、五二、」を、同九行目の「一一、」の次に「一五、」を、それぞれ加える。

二  同四六頁一行目の「1」の次に「Bの勧めで購入した日本セメントやナカイの株価が下落していたところ、」を加える。

三  同四七頁一行目の次に「ワラントの価格は、基本的に株価に連動するが、株価の数倍の幅で上がり下がりするハイリスク・ハイリターンの金融商品です。」を、同八行目の「原告は、」の次に「漠然とワラントがハイリスク・ハイリターンの金融商品であることを知っていたので、誠実に付き合うことになっているロータリークラブのメンバーならワラントの取引が被控訴人にとって危険であれば止めるようにY1に指示してくれるものと考え(甲五二の五頁参照)、」をそれぞれ加える。

四  同四八頁二行目の「あり、」の次に「漠然と」を、同三行目の「という」の次に「ハイリスク・ハイリターンの」を、それぞれ加え、同四行目の「なく、」から同五行目の「持ってい」までを削る。

五  同四九頁七行目「原告に対し、」の次に「平成二年一月二四日に一株一〇九一円・合計五四五万五〇〇〇円で購入した」を、同八行目「売却」の次に「し、旭硝子のワラント三〇口分を四一五万六六五〇円で購入」を、それぞれ加える。

六  同五二頁二行目の「話し、」の次に「平成元年八月二五日に一株一三三〇円・合計五三七万三九七二円で購入した」を、同行目の「売却」の次に「し、三井物産のワラント三〇口分を四三九万七七三七円で購入」を、それぞれ加える。

七  同五八頁一行目の次に「その際、被控訴人とCとの会話の中で、ワラントは行使期間を徒過すると無価値となる旨の話も出ていた。」を、同頁末行の次に「その頃から、被控訴人は旭硝子のワラントの売却を控訴人会社に言わなくなった。なお、その後、旭硝子ワラントの価格は、平成三年五月三一日には五一万六九九三八円、同年八月三〇日には五万一四三二円、同年一一月二九日には二万四三八五円、平成四年二月二八日には一九四〇円と下落の一途であった。」を、それぞれ加える。

八  同六一頁六行目の「内容について、」の次に「ワラントの価格は株価に連動するが、その変動率が株式に比べて大きく、株式を売買するよりも少額の資金で株式を売買した場合と同様な投資効果を上げることが可能である反面、値下がりも急激で投資金全額を失うこともあることや、権利行使期間内に売却するか権利行使をしないとワラント買付代金全額を失うことなど、」を加える。

九  同六五頁末行の「海外で」の次に「日本企業によって」を加え、同末行から六六頁一行目の「相当の割合」を「約八〇パーセント」に改める。

一〇  同七〇頁一〇行目の「一条」を「二条」に改める。

一一  同七二頁六行目の「及びに投資目的」を「、投資目的及び投資対象商品の性質」に改める。

一二  同七五頁四行目の「認めがたく、」の次に「漠然とワラントがハイリスク・ハイリターンの金融商品であることの認識があったものの、」を、同五行目の「以前に」の次に「具体的に」を、それぞれ加える。

一三  同七五頁九行目の「ワラントの意義」から同七六頁一行目の「④」までを「ワラント債発行時に権利行使期間が定められており、その期間を徒過すると無価値になること、②ワラントの価格の変動は株価の変動に連動するが、その変動率が株価より大きく、同額の資金で株式の現物取引をする場合に比べて、ハイリスク・ハイリターンの金融商品であること、③」に、同八行目の「についての説明に終始」を「を強調して説明」に、同一〇行目の「①ないし④」を「①ないし③」に、それぞれ改め、同末行の「について」の次に「十分に」を加え、同七七枚目一行目の「①ないし④の点などについても何らの」を「①ないし③の点などについて十分な」に改める。

一四  同七九頁五行目の「認識し」の次に「、以前から漠然とではあるがワラントがハイリスク・ハイリターンの金融商品であることを知っており、控訴人Y1から株価が少しでも動いたら(値上がりしたらの意味と解される。)ワラントは何倍も高くなる旨を聞い」を、同六行目の「説明書」の次に「や控訴人会社から三か月毎に送付された『外貨建ワラント時価評価のお知らせ』の裏面など」をそれぞれ加える。

一五  同八〇頁二行目の「五割」を「六割」に、同四行目の「四割」を「五割」に、同六行目の「二〇七万八三二五円」を「一六六万二六六〇円」に、同七行目の「一八六万六七一七円を「一五五万五五九七円」に、同一〇行目の「四〇万」を「三〇万」に、それぞれ改める。

第四結論

よって、被控訴人の本訴請求は、控訴人ら各自に対し、三五一万八二五七円とその内一五五万五五九七円に対する平成二年一二月一七日から、その内一六六万二六六〇円に対する平成五年三月一六日から各支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、その余は理由がないからいずれも棄却すべきであり、右と異なる原判決を主文のとおり変更する。

(裁判長裁判官 井関正裕 裁判官 河田貢 裁判官 佐藤明)

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